33-玉の輿を狙うことになるのか?

「昨日と一昨日、お姉ちゃんが帰ってきたの、多分私たちが起きる前。朝帰りってやつなのかな。
あんな夜に出かけて、帰ってくるのは朝で。学校では普通に過ごしてるみたい。
それはそれでめちゃくちゃすごいと思うんだけど」

睡眠時間足りてるのかな?とのこと。

「お姉ちゃんの話聞いてくれる?」
それが俺ができる慰めなら、と思って俺はうなづく。
俺の肯定を受け取った古今泉は話始める。
「お姉ちゃん、昔から凄くて。勉強も運動もできたし、人間ができてたし、みんなから慕われてて、そんな完璧じゃん!みたいな人なんだけど、一緒にいて苦しくなくて。
お姉ちゃんと遊ぶの楽しいし。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんに完璧であることを望んでなかったけど、すごい出来た娘だなぁとか言って感心してるくらいで。
私はそんなお姉ちゃんが大好きで。
お姉ちゃんみたいになるのが目標だった。

お姉ちゃんが今の会長と付き合った時は悔しかった。お姉ちゃんが盗られたみたいで。
でも、流石にそれはシスコンすぎるかなって思って。
だから、お姉ちゃんと今の会長さんが付き合うことに対しては黙ってようと思って、あまり会わないようにしてた。だから、あまり会いたくなかったんだけど。

お姉ちゃんが別れてたこともそうだし、そんなお姉ちゃんが、どうして、夜遊びに行くの?って。私知らなくて。そんなのおかしいって思った。
だから、夜何してるの?とか聞いてみたらお姉ちゃん段々不機嫌になって。
前みたいに話せなくなって。

私の話し方も良くなかったかもしれないけど、あんな風になるなんて今までのお姉ちゃんからは考えられなくて。

絶対何かあったんだって思った。

でも、本当はお姉ちゃんが望んでることで、お姉ちゃんが選んだことだったとしたら、私のやろうとしてることは余計なお世話すぎるでしょ?だからお姉ちゃんが本当に望んでやってることなのかどうかを知りたい。

だから私はお姉ちゃんのこと調べようとしてたんだけど。

ちょっとシスコン極まり過ぎか?」

古今泉が自虐的に笑った。

「お姉ちゃんが心配なだけなんだな」

「うん。そりゃね。心配だよ」
「でも、その心配が過干渉なのかなってちょっと悩んでるとこ」

過干渉……俺とは縁遠い言葉だ。俺が考える過干渉と古今泉の考える過干渉は違うかもしれないが、古今泉が姉を心配するのは当たり前の流れではないのか?と思う。
俺は最初、古今泉の狂言じゃないか?と疑っていたが、今ではその線は限りなく薄いと思っている。ないと考えていいだろう。古今泉の姉は実際に夜に出かけていたし、出かけた後、車に乗ってどこかに行った。しかも、その車の持ち主が能力者候補。
これは心配しない方がおかしい。
それを過干渉というのであれば、過干渉でない人は単に無関心なだけだ。

「過干渉ではないだろ。古今泉の心配はもっともだ」
「うん。そうだといいんだけど」

古今泉のテンションは沈んだままだ。

師匠から言われたことを破る気はないが、でも、俺は古今泉のために何かしてやりたいと思う。

「あの車の持ち主、見当ついてたりするのか?」
「ううん。わからない」
「池崎って名前は?」
「特には……待って。池崎って人が関係してるの?」
「車の所持者が池崎という名前の者だった」
「それ……あ、えっと、知り合いには特に心当たりないけど、そういえば……」
と古今泉はスマホを取り出して何かを調べ始める。
検索している。

「あった。そうだ。この辺りで池崎って言ったら社長さんの名前だ。確かこの辺りに住んでるって」
「社長?」
「うん、おもちゃメーカーの社長。虎次郎って人」
「あーそれだ。その息子が古今泉のお姉さんと一緒にいたやつのはずだ」
「当たった!!てか、え、社長さんの息子と?何で?」
「わからない。そこまでは聞いていない」
「そっか。でも、逆に気になっちゃったけど、そこまでわかってるんだね。すごいね」
「俺は教えてもらっただけだけで、それ以上は指示を待てと言われた状態だ」
「うん。そうなんだ。でもすごい」
心なしか、古今泉に元気が戻ったような気がする。俺の気持ちが少し楽になる。

「俺もやれることはやるよ。現状、できることは少ないけど」

「うん。ありがとう。助かる」

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